石垣島においてハタゴはイボハタゴなどと同じく藻場地に生息していますが、イボハタゴなどがリーフエッジ近くに見られたり、15M付近の水深に見られたりするのに対してハタゴはもっぱら藻場地近くの浅場で見られます。 実際にイボハタゴ・シライト・センジュ・タマイタダキが同時に生息する場所はあるのですが、自身はこれにハタゴが加わるような場所を知りません。 また、イボハタゴが藻場の砂地の中に埋まって生息しているものが多いのに比べて、ハタゴは藻場に点在する砂の掛かったような浅い岩場に根元を活着させています。 この砂地から浅く出ている岩場にもサボテングサやセンナリヅタなどが生えていて、周りの藻場と同化しているような感じを受けます。 藻場地ですので大潮干潮時には干上がるような場所にも生息しており、夏などはぬるま湯のような海水の中、そして冬は南方系の魚が浮き上がるような低水温といった過酷な環境に生息しています。 それでも飼育が難しいとされるイソギンチャクに挙げられるのは何だか不思議な感じがします。 共生生物もカニダマシやイソギンチャクエビ、イソギンチャクモエビなど豊富に見られ、クマノミに関しても外洋のリーフなどに生息するセンジュと共にカクレクマノミのみが共生しています。 自然海域でのハタゴは適度な縮みとウネリを持っていて、このウネリのヒダの部分から出たり隠れたりするクマノミの仕草がとても特徴的です。 ハタゴの繁殖に関しては、卵による有性生殖・分裂による無性生殖など共にあるように思いますが、どちらにしても小さな個体は岩の窪みなどに隠れるようにして生息しているようです。 これらの個体は褐虫藻も薄く、触手もとても短いので一見してハタゴとは見えない感じがしますが、数ヶ月後にははっきりとしたハタゴへと成長します。 このような緑の藻場地に生息するハタゴとカクレの生息環境は、鮮やかなサンゴ礁に囲まれたセンジュとカクレとは違いひっそりとした佇みの中にあります。 がしかし、その分見つけた時には思わず引き込まれるような感動があります。 特に、カクレの赤い体色が藻場地の緑の中で生き生きとして見えるのが印象的です。
アマモは種子植物として花を咲かせ種を作る海草として、タカノハヅタなどの海藻類と区分されます。 これは、海藻類が葉から栄養を吸収するのに対し、アマモが稲などのように根からも栄養を吸収するといった違いがあります。 またその繁殖はイワヅタのような海藻類が海水中に伸びるランナーから成長するのに対して、アマモは種と地下茎の成長で行われます。 ちなみにアマモは低比重の海水で根を貧酸素状態にして発芽すると言われています。 低比重に関しては、浜近くの藻場地は川などによる淡水の流れ込みがあるのが普通ですし、山から流れ込む鉄分などの藻場に必要な養分も豊富にあると考えられます。 またアマモの根は硫化鉄のような黒い砂の中に埋まっていますが、根がこれらを必要としているのか根があるからこれらが出来るのかはわかりません。
藻場地の環境は、その海域でそれぞれにあるとは思いますが個人的な感覚では、 (a)綺麗な白い砂地に繁殖するウミヒルモやウミジクサの藻場 (b)小岩などが点在する中で背の低いアマモ類と混在するタカノハヅタやサボテングサといった海藻類が茂る藻場 (c)リュウキュウスガモやボウバアマモが密集して繁殖している藻場 といった感じで微妙に棲み分けされている印象を持ちます。 これは葉の光合成と背の高さとの関係を考えれば納得できる棲み分けだと思います。
水槽内においてのアマモの成長はイワヅタほどではないものの、確かな葉の成長は見られます。 ウミヒルモは横への地下茎の成長が早いようで次々に新芽が出てきますが、葉が高く成長するボウバアマモやリュウキュウスガモなどは、地下茎の成長に伴い新芽が底砂から見られるようになるには時間が掛かるようでイワヅタなどの繁殖感覚とは一線を画くようです。 この事はこれらの根を見れば一目瞭然となります。 ウミヒルモやウミジクサのような細い地下茎とは違い、リュウキュウスガモなどはとても太くて丈夫な枝のような感じですので、これらが成長する為の栄養はかなり必要となるように思われます。 水質に関してはアマモ類は海藻類よりかなりの耐性を持っているようで、底砂さえあれば止水にも耐えられる丈夫な種だと感じます。 がしかし、繁殖したアマモを水槽内で実現するには地下茎の定着と成長が不可欠となるでしょう。 そうした意味ではレフジュームとしてプランクトンなどを増殖する目的の場合は、やはりメタハラなどが必要だと思いますが、アマモ自体の維持・成長にメタハラが絶対に必要なのかは若干疑問です。 アマモの地下茎にとっても葉からの栄養吸収はとても重要だと思いますので、葉の成長が見える程度の光量は必要だと思いますが、それがメタハラの光量でないとダメかというと長期的にはわかりません。
尚、アマモ飼育のノウハウなどについては、 「indoor reef 」 http://www.geocities.jp/hiromasahome/newpage6.htmlの堀さんが水草技術の応用でアマモに挑戦されていますので、是非一度ご覧頂く事をオススメ致します。
沖縄海域で見られるアマモ類としては、リュウキュウスガモ、リュウキュウアマモ、ベニアマモ、ボウバアマモ、ウミジクサ、マツバウミジクサ、ウミヒルモ、ヒメウミヒルモ、ウミショウブ、などが生息していると言われています。 がしかし、この辺の正確な分類に関する参考情報がとても少ないので実際にはどれがどれだか分からないといった方もいらっしゃると思います。 正直言って自分も正確にはあまりよく分からなかったので、色々と調べたのですが、それでも何となくしか分かりませんでした。 その原因は、葉の状態で観察する上で決定的な違いや特徴などがあまりなかったり、その違いを説明する画像での比較情報などが少ないからでした。 それでも、これらの情報と実際のアマモとを照らし合わせながら、ここ石垣島で身近に見られるアマモの種別を以下でご紹介したいと思います。
まずは、実際のアマモ場の海域では混在しながら生息している場合が多く、特に一見した見分けが困難だったものが、リュウキュウスガモ、リュウキュウアマモ、ベニアマモの3種です。(沖縄を代表するアマモらしいアマモです。) これらの違いのポイントを簡単に挙げると、 リュウキュウスガモ ・・・根の部分(地下茎)に薄皮を被せたような節がある。 リュウキュウアマモ ・・・葉部分に赤みのある横筋がある。(この特徴は全てではないようです。) ベニアマモ ・・・・・・・・・上記アマモより葉が細く湾曲が少ない。 といった感じになると思います。 実際の画像で比較してみると、その特徴は分かりやすくなりますが、アマモ場などで葉部分だけをみて判別するのはやはり難しいかもしれません。(これらが混在して生息していたり、葉の湾曲や大きさなどがその海域で異なる為。)
次に上記のアマモなどと混在して生息しているもの、見た目からはっきりと分かる違いがあるのが、ボウバアマモです。 これは、名前の如く棒状(細長い円柱形)の葉をしており、平たい葉のアマモなどと同等程度の高さで混在しているのを多く見ます。
背が低い為か、上記アマモと別で密生している事が多く見られるのが、ウミジクサとウミヒルモです。これらは、環境への適応範囲も広いようで上記アマモより浅い場所や深い場所でも生息しています。 ウミジクサの特徴は、葉や地下茎などが細く毛のような根が絡み合って密生している事で、海で見るとまばらな芝生のようなイメージがあります。 このウミジクサには更に葉の細いマツバウミジクサという種もあり、このウミジクサとマツバウミジクサとの違いは葉の先端にあるとされています。 葉の先端部分の中央に細かな黒い線が入っているのがウミジクサという事らしいです。 確かに、よくよく見るとそれらしい線が微かに見えます。 がしかし、藻の付着や枯れなどで葉の先端が綺麗に見えるものは少なく、個人的にはマツバウミジクサと判別出来る種を見つける事が出来ていません。 ウミヒルモとヒメウミヒルモも同様で、今だヒメウミヒルモを見た事がないのですが、これらの違いははっきりとしていて、ヒメウミヒルモは葉の形状がウミヒルモより縦長になっているそうです。 ちなみに、ウミヒルモは温帯域の海域にも生息しているのに対して、ヒメウミヒルモは沖縄本島でよく見られる種だそうです。
最後にウミショウブですが、これはとても背が高く浅い場所などでは水面まで到達する葉を形成する種です。 八重山では多く見られるものですが、その大きさから遠くからでもすぐに判別する事が出来ます。 水槽内で楽しむには水族館並の水槽が必要な大きさであることと、限定した生息地域で希少性などを感じる種でもあるので画像でのご紹介は控えます。
※上記参考資料として 「辺野古の海草」 http://www.sdcc.jp/okinawa/henokoumikusa.htm
アマモ飼育に関して、以前に水族館などでのアマモ水槽立ち上げ経験を持つ方からお話を伺った時、ポイントは光量だと言われました。 この光量について、その方は「ミドリイシ飼育の3倍」という恐ろしい程の光量を示されましたが、これは水深1〜2M程度の沖縄の浅瀬に生息して繁殖する植物である事を考えれば、ある意味で納得のいく答えでもありました。 がしかし、水草飼育などでは、光量だけではなくCO2添加が行われていますし、水槽という限定された環境の中で光合成を促進させるには光だけではなく、こうした手法と合わせる事がとても重要だと考えます。 こうした光合成を確認する目安として、アマモ葉から放出される酸素量(泡)を見るという事が出来ますが、正確には様々条件や作用で行われている事もあり、これだけで判断出来ない側面もあるかと思います。 それでも、こうした視覚的に捉えられる現象として光合成を考えると、実際のアマモ場では一体どれくらいの酸素放出が行われているのか、という事と比較が出来るのではないかと思います。 現場での観察では、春から夏の強烈な太陽光がそのまま降り注ぐような状況下になると、アマモ場では一面に細かな泡が立ち上っていく光景を目にする事が出来ます。 これは、ちょうどサイダーなどをコップに入れ、しばらくした後の泡の出方と同じ位に感じます。 この時のアマモ葉は沢山の泡に包まれ、少し触れただけでもこうした泡が一気に立ち上がるような感じでもあります。 勿論、穏やかな凪の日が続くとアマモの葉は沢山の藻に覆われますので、これらが純粋なアマモの光合成だけでの泡では無いと思います。 ちなみに、こうした藻の付着は夏場に顕著となって現れますが、台風などの影響で定期的に洗われてもいます。 また、植物にとって硝酸塩などの窒素の還元や葉緑体の合成に必要とされる微量元素として鉄があります。 この鉄をイオン化して供給する役割として海へと流れ込む川の存在が言われていますが、実際のアマモの繁殖海域でも川からの流れ込みの影響を感じる事が出来ます。 特に、小さな川の流れ込みのある海域などでは、川からの影響に応じて、泥及び砂地から藻場、ウネタケ類のソフトコーラル、そしてハマサンゴやミドリイシといった生息生体の移り変わりを見る事が出来ます。 光合成に関する、自然界でのこうした状況を水槽内で再現する為には、光量は勿論、CO2の添加、鉄分の補給など光合成を促進する為の様々な方法が必要だと思います。 また、水槽内では強力な波の影響で藻を落とすといった事などが出来ませんので、アマモ葉自体の光合成を阻害する藻類の除去も必要となるでしょう。
※上記参考資料として 「石垣島白保サンゴ礁におけるCO2連続通年観測 」 http://www.jst.go.jp/pr/announce/19991028/ 科学技術振興事業団と東京大学の研究グループが行ったサンゴ礁海域でのCO2調査を紹介しているページです。 「海水中の微量金属と生物生産」 http://inter3.kuicr.kyoto-u.ac.jp/hottopics/020516tm/020516tm.html 京都大学化学研究所の宗林教授が研究所サイト内のトピックスで海の微量元素研究の課題として鉄と植物プランクトン、CO2などの関係を説明しているページです。 「メソコム実験水槽を用いたアマモの生育限界光量について検討」 http://www.mlit.go.jp/chosahokoku/h17giken/program/kadai/pdf/ippan/kan2-05.pdf 港湾技術研究所で行われたメソコム(隔離水界)水槽でのアマモ生育実験です。(PDFファイル)
前回(秋)の試みで、光量アップや二酸化炭素の添加など光合成促進という側面から色々とアマモ定着へのノウハウを探ってみましたが、その後アマモキーパーの皆様から様々なケースでの経過情報を頂きました。 その中の多くがアマモ導入後一カ月程度で、新芽の展開(株の目減りはするものの)などを観察されているなど、アマモ飼育が順調に定着へと繋がっている事を伺わせる内容であると共に、CO2添加によるPH値の低下懸念やアマモ葉に付くコケ対策などに苦慮している様子も伺えました。 また、最近では前景用、後景用とアマモ種別での配置の計画をされている方や実際のアマモ場海域への関心を示す方も多くなり、本来の連結隔離水槽としての海藻レフジュームからアマモ水槽へとイメージを広げているなどの変化もあります。 そこで、実験的な飼育情報と共に今回は水槽をサイズアップして本来の主テーマでもあるアマモ場再現のレイアウトを試みたいと思います。 (尚、土壌についての実験はあまり参考となるような結果が出ずに終わりました。)
■水槽設備 60×30 エーハイム2215 CO2添加
■照明 間接自然光 補助として蛍光灯(18W×2灯)
■アマモ類 レフジュームパック2ヶ分を使用。
■海藻類 岩付き海藻6ヶを使用。
■生体 開始時にイソギンチャクモエビを10匹。ハタゴ・カクレクマノミは一週間後に予定。
■海水 天然海水使用。水温は上限28度という環境です。
アマモ場再現水槽のセット とりあえず今回のレイアウトで目指したのは、「藻場地の環境(アマモと海藻類に関して) 」でも述べました一般的な藻場地の光景の再現です。 これは、1:浜から続く何もない砂地と砂地とアマモ場との境で見る背の低い岩場 2:その岩場でランナーを伸ばすイワヅタや砂に埋まった岩の窪みに足盤を定着させているハタゴ 3:そしてその後ろで青々と茂るアマモ、といったオーソドックスな藻場地変化の再現です。 尚、水槽レイアウトにはデフォルメやイメージの抽出などがあるものだと思いますが、今回は自然海域での植生と占有バランスを含めて限りなくリアルな再現に努めました。 上記をもとにしたアマモ水槽のセットは、基本的には水草水槽などと同様の手順で行いました。 まずは、空の水槽に少し荒めの底砂を敷き岩付き海藻類を配置します。 次にレフジュームパックを岩付き海藻類に沿うような感じで形を整えながらバランス良く置いていきます。 ここまでは、水の無い状態で全体の配置などを確認しながら行う基本作業でもあり、ある程度の修正は可能な作業でもありますのでじっくりと行いました。 その後、アマモが浸る程度に海水を注いだ後でサンドを薄く被せるなどの細かい調整を行いますが、この作業はサンドからの濁りが出るので水槽を上から見た状態で行います。 主な作業は、サンドから浮き上がったアマモの地下茎をサンドで埋める事と埋まったアマモの葉を株の根元から起こす作業となります。 尚、この作業は、乾いたサラサラのサンドであれば、水無しでも可能だと思いますが、水を含んだサンドで行うとサンドの塊が出来やすく作業が難しくなります。 以上が終わったら、水槽内に海水を満たしフィルターを稼動させます。 ※海水を水槽内に注ぐ場合は、ボールなどを使い淵から溢れるようにしてサンドを巻き上げない(水流などでサンドを部分的に掘り起こさない)ようにして水槽内に水を張っていきます。 ※アマモは海水が入り葉が立ち上がらないと正確な高さなどが分かりませんので、一度別水槽に入れて確認してから配置する事が必要です。 ※今回は外部フィルター使用ですので、新しいろ材を入れて1ヵ月程度回した状態のフィルターを使用しました。 以下は水槽上部から見たアマモ類の配置と正面から見た時の水槽画像です。
さて、ここから数週間はアマモ根の定着とアマモ葉に付くコケの駆除を課題として水槽を回して行く事が重要だと考えています。 アマモ根の定着は積極的な光合成促進などで活性をあげていく事で可能だと思いますが、コケについては難しい課題となる場合が多くとても悩みます。 現在のところアマモ葉に付くコケ対策の有効な手段と思われる主なものとして、1、換水による貧栄養化 2、コケ取り生体の投入 3、一時的な遮光などによる光量の調整 といった事が考えられます。 これらは状況を見て柔軟に行う必要があるわけですが、今回試みてみようと思う手順としては、まずアマモの活性向上を重視してコケ取り生体(前回の結果からモエビ)の投入から行い、その後アマモ根の定着具合とコケの発生具合を見て換水と一時的遮光(2〜3日)を同時に行うという方法です。 (以前の水槽実験や日照率の低い冬場の海域の観察などからアマモ根が定着した場合、アマモにはそれなりの耐久性があると考えられます。) また、多くの皆さんが懸念されているCO2添加時のPH値変化についても測定していきたいと思います。 (基本的には、アマモ根定着までのCO2添加はとても有効だと考えております。レフジュームとしてメイン連結する場合も単独アマモ水槽として他の生体などを入れる場合も、まずはアマモ根を定着させた後でCO2添加を停止して連結及び生体投入を行う事でPH値低下の懸念は解決出来ると考えております。)
一週間後のアマモ場再現水槽
当初の予定通りハタゴとカクレクマノミを追加しました。 ハタゴは、あらかじめ小さな石に定着させておき、その石をサンドに埋め込むようにして水槽内に置きました。 全体としては、アマモの根元にあったコケなども無くなり、少しスッキリとした感じになりましたが、この一週間はほとんど日照が無いという状況だったため、十分な光合成促進が出来ず葉先が黒く枯れはじめるものも見られました。
ハタゴは10cmサイズ、カクレは3センチサイズの兄弟です。 共に藻場地に生息していた生体ですので、再現水槽の感想などを聞いてみたい気もします。
導入後一週間で出たアマモの枯葉の量です。 はじめは半分枯れている古い葉などが混在していますので、抜け落ちた葉を丁寧に取り出していきました。 枯葉の蓄積は光合成の妨げとなる可能性もありますので、定着可能な株を出来る限り残し密生度合いを保つ為の作業として行いました。
三週間後のアマモ場再現水槽
アマモ葉のコケもほとんど無くなりましたので、ダメ押しの8割換水を行いました。 導入時にあった枯れ葉や付着藻の葉などは、ここまででほとんど抜け落ちた感じになったと思います。 これにより根元が多少スッキリとした印象になったアマモに対して、繁殖の早いイワヅタ類の成長が水槽内でのボリューム不足を補うような感じになりました。 ただ、植生バランス自体はあまりよくないので、今後はイワヅタ類とアマモのバランスが崩れないように、イワヅタ類のトリミングが必要かと思っています。 尚、そろそろPHとの関係をと思いCO2添加の為の拡散器を掃除していたところ誤って割ってしまいました。(新しく調達後に行う予定です。)
前回(夏)の試みから、半年が経過しましたが、ようやく水温も下がりいい季節になりました。 その間には、自然のアマモ場での観察や採取・導入方法など色々と現場での試みをしながらアマモ飼育の可能性を探っておりました。 また、飼育者へのご提供も開始して、INDOORREEFの堀さんなどが水草飼育の応用などで実践的なノウハウと効果を観察されるようにもなりました。 という事で、今回はメタハラ照射・CO2強制添加・鉄分補給といった光合成を促進する環境を整えて、実験的に観察していきたいと思います。 尚、使用水槽などは前回同様に30キューブ水槽に外掛けフィルターといった構成です。
■追加設備 13W蛍光灯を1灯減らし、ネオビーム(10.000K)を追加
■サンド 前回使用のサンドをそのまま使用。
■アマモ類 リュウキュウスガモ・リュウキュウアマモ・ベニアマモ・ボウバアマモ・ウミジクサ・マツバウミジクサなどが混在したレフジュームパックを使用。
■生体 コケ対策用にイソギンチャクモエビを15匹投入、一週間後5匹を残して10匹は出しました。
■海水 天然海水使用。水変えなし。水温は26〜28度をキープという環境です。
アマモ水槽の経過 一週間目まではメタハラ照射(7時間)、一週間後からCO2の添加(5秒一滴)とメネデールを数滴ずつ添加するような形で観察してみました。
30p水槽(光合成促進)の検証 上記の画像では、前方斜め上からの撮影ですので、アマモ葉の伸びなどを伺う事は少し難しいかと思います。 そこで、同アングルでの拡大した画像で細かな葉の出方や生長具合、また枯れなどの様子をご紹介したいと思います。 左の画像は発芽や葉の生長の様子、右の画像は枯れと交差する葉のサイクルが伺えるものです。(じっくりとご覧頂く事で、変化の過程が見えてくると思います。)
照明なし水槽での経過 今回は、照明等を一切与えない別タンクを用意して飼育比較の実験をしてみたいと思います。
照明なし水槽の検証 照明なし水槽でも拡大して部分的に見ると色々な事が見えてきます。 特に、枯れと葉の生長に関する特徴や傾向というものを見ると、サンド内の根の存在を感じる事が出来ると思います。 左の画像は照明なしでの発芽した葉の生長の様子、右の画像は枯れの様子です。
新芽の検証 リュウキュウスガモの株から出る新芽の生長画像です。 アマモ導入から一週間後に株内で発芽する新芽を確認したので、その成長速度を記録してみました。 5日で1.5pの生長ですので、平均的なスガモの高さ(7p程度)になるまでには、単純に考えて20〜25日程度掛かる計算になります。
モエビの検証 アマモ葉に付着する藻類への対策としてアマモ導入直後にイソギンチャクモエビを投入しました。 藻類への程度がはっきりと分かるように、30p水槽に15匹という投入量で始めたのですが、投入4日後には藻類がキレイに無くなりました。 結果としては、5匹程度で十分だったと思います。 モエビは捕食される可能性のある生体とは一緒に出来ませんが、藻場地のハタゴなどに共生するエビですのでイソギンチャクなどがあればアマモのコケ取りには最適な生体かもしれません。
アマモ葉で見られる生物 アマモの葉上に見られた生物をご紹介致します。これらは、全て自然のアマモ場でアマモと共に生息している生物です。
今回の試みの感想として 光合成についての促進効果を探っていく事を目的とした今回の実験ですが、やはり初期段階でのアマモ葉の枯れと発芽・生長のサイクルを水槽内で維持していくには、水温・光量・CO2などのコントロールで光合成を促進していくという手法が有効だと感じました。 当該水槽内での約1ヶ月の経過で見ると、導入時の葉の生長と枯れのピークは2〜3週間、そして新芽の生長と入れ替えが行われるのに約1ヶ月というサイクルが見られました。 これは、照明なし環境での経過と合わせて見ると、アマモのサイクルが環境要因によっても大きな違いが出るものだという事が伺えますし、アマモの種別で見た場合、ウミジクサのような細い葉と細い根を持つアマモは、枯れと生長が葉からの光合成に強く影響される事が見られ、逆に大きな葉を持つアマモが根や地下茎に依存している印象も伺えました。 導入初期時のアマモに関しては、なるべく活性を高め根の定着を図る事で、環境適応したアマモの株をより多く残す事が出来るように感じます。 その後の長期的なアマモ飼育に関しては、地下茎や根の発達による新たな株の出現と、それに必要な養分バランスやその吸収効果を追求していく必要があるように思います。 (アマモに関する土壌(底砂)については、次回で色々と検証してみたいと思います。)
以上2005.12.03 記載として
石垣島におけるイソギンチャクとクマノミの生息環境を再現したアマモ場水槽を作ってみようと思います。 これは、INDOORREEFの堀さんとのお話の中で、なんとなく考えていた事を実現してみようという感じで始まったものです。 水槽は30キューブ水槽に外掛けフィルター、13W蛍光灯×2灯という極めてお手軽で極めて手間が掛かるものを選択しましたが、これで何処までイメージが作れるかという事に挑戦してみたいと思います。
■サンド サンゴ砂(パウダー)を別水槽内で熟成したものに砂地のプランクトン(線虫類を採取)を入れたものを使用して水槽前面5pから奥に10cmまでの厚さで敷きました。
■ライブロック ライブロックは使用せず、ろ材メーカーのセラミックス擬岩をそのまま使用。 (これは浸水性がとてもいいので底砂に埋めても硫化水素があまり発生しないという事と、生物が付着していませんので腐敗などの心配が無いという事での使用です。)
■アマモ類 全体にウミジクサ、前左にサボテングサ、前右にウミヒルモ、岩の右横にビャクシンヅタ、岩の左奥にタカノハヅタ、奥にボウバアマモと奥中央右にリュウキュウスガモ2株。
■生体 ハタゴ(7cmサイズ)とカクレクマノミ(2cmサイズ2匹)、イソギンチャクモエビ(5匹)をメインとして調整。
■海水 天然海水使用。水温はほぼ30度をキープという高水温環境です。
アマモ場地再現水槽をご覧頂き有難う御座います。 その後の経過ですが、結果として経験のある皆さんは想像しているとおりです。 8月に入り、水温も30度オーバーの日々が続くと、どんどんとアマモが枯れ出しました。 結果としてアマモはほとんど枯れてなくなりました。(当たり前と言えば、当たり前ですね。) 長期的にこのような環境を維持していくには、メタハラ・クーラー・浄水器といった設備がやはり必要なようです。 こうした設備が必要である事は、当初から色々な方に言われていた事なのですが、クマノミ飼育者の多くが手軽な小型水槽でやられているのではないかという個人的な推測から試してみた次第です。 立ち上げ時と現在の画像を比べると、無残な印象を受ける方も多くいるかと思いますが、パッと見の印象とは別に色々と自然な形に変化・熟成してきているのも事実です。 これが、水槽の奥深さでもあり面白さでもあると思います。 そしてここで検証の為、水槽内がどうなっているのか確認したいと思います。 尚、クマノミとハタゴは、協力に感謝しつつ早々に自然界に返還しました。(ご苦労様でした。)
6月中旬から7月中旬の経過について 6月中頃から連日の雷雨で換水が出来ず、また落雷による停電で半日ほど循環がストップしたりと20L程度の水量で回す水槽にはとても厳しい状況が続きました。 水槽稼動から50日程度だとバランス自体が出来てもいませんので水質変化も相当だったでしょう。 結果、ボウバアマモ、ウミヒルモが枯れはじめたので根を掘り起こし確認したところ、成長どころか維持すら出来ないような感じの痩せた根になっていました。 一番葉の成長が見られていたウミジクサの根も同様でしたので、全体的にアマモの根への栄養が不足していたのかもしれません。 という事で全面的にアマモの植え替えをする事にしました。 今度は、アマモ郡の根の塊をなるべくそのまま水槽内に持ち込むという形でやってみました。(サンド内の富栄養化と微生物郡の取り込みが目的です。) ボリュームのある絡み合った根の周りには栄養や微生物が盛りだくさんといった感じです。 それをそのまま埋め込みますので、サンドの厚さはプラス3〜5p以上になります。 アマモとは対照的にどんどんとランナーを延ばし成長するイワズタなどの海藻類は全て撤去して出来るだけ底砂だけのスペースも作り、サンド内の生物が活動しやすいようにもしました。 一ヶ月ほど様子を見てみましたが、アマモに関しての変化はないものの、サンド内の生物が活発に活動している様子が伺えるようになりました。 アマモの枯れ葉も底に沈んだものは、なるべくそのままにして微生物などによる分解を期待しています。 水槽画像を保存していたつもりだったのですが、どこかに消えてしまいました。(撮り直しをしようと削除したような記憶も・・・?。)
サンドの検証 アマモ根の塊を投入してしばらくすると、線虫類などの活発な活動が見られたのですが、それはやがてアマモ場の砂地で見慣れた山状のうねりのような凹凸を作り出すようになりました。(これは、線虫類などが砂を消化して吐き出す事によって出来ます。) また、その事によってサンド表面は粘着質でとても細かな砂に変わりました。 アマモが枯れ出し大量の枯葉が出ましたが水換えせず様子をみると、日中に発生するサンド表面のコケなどがライト消灯後の夜間になると線虫類などの活動で朝には真っ白なサンドとなるような変化も見られました。 セラミックスのライブロックもこうした線虫類などの活動でサンドから溶解したカルシウムが影響したのでしょう。石灰藻の付着が進んだようです。
今後のアマモ場水槽について 閉鎖循環システムとして水槽内で生態系の幅を広げ、自然界の部分的な景観を再現していくレフジュームという手法は採取現場にいる人間にとって大いに関心と注目を寄せています。 これは、ここ石垣島などの自然海洋景観の観察などを模倣する所からアプローチ出来るものだからです。 我々のような立場では、水槽内がどれだけ自然感をもった景観に変化しているのかという事を追求していく事がとても大切なのではないかと考えています。 残念ながら今回のような水槽設備では、アマモが成長出来る環境は作り出せませんでしたが、アマモ場の環境の一部はそれなりに確認する事が出来たように思います。 という事で、今後は光量や水温維持も含めて新たな水槽設備で挑戦したいと思います。
以上2005.08.22 追記分として